田鎖マンドリン桜モデルの長期レビュー

田鎖マンドリン製作所の桜モデル

　田鎖マンドリン製作所は、エンベルガーモデルのマンドリンを製作しています。エンベルガーの工房から製作道具一式を譲り受けマンドリンを製作しています。本物と同じ製作道具で作られたマンドリンのため、本家のエンベルガーと遜色ない出来栄えです。

　製作所を立ち上げてから長い間、エンベルガーヘッドのローマ型のマンドリンを製作していましたが、新たに加わったのが、ナポリ型の桜モデルです。

　桜の模様が施されたヘッドです。色合いは桜を意識されています。ちなみにエンベルガーモデルといえば四角いヘッドが特徴です。

　国内では落合もこのヘッドのモデルがあります。

　ネックを見ると一目瞭然ですがナポリ型は、弦交換がやりやすく、埃も落ちやすいです。私は長い間、エンベルガーモデルを使っていましたが、弦交換と埃対策は難儀でした。弦がペグに巻きつけしにくい、ペグ周辺の埃が落ちにくい特徴があります。

　桜を見た時、デザインが素晴らしく弾いてみたくなるマンドリンでした。2台目のマンドリンを探していましたので、飛びついてしまいました。

　桜を構えるとこのような感じです。

　ピックガードに桜の花びらが散りばめられています。胴の大きさは僅かにエンベルガーモデルよりも桜モデルが大きいです。スーパーライトケースに隙間なく収まる大きさです。エンベルガーモデルはスーパーライトケースに収納すると隙間できます。重量は違いがわかりませんでした。

弾いてみたレビュー

　約3ヶ月弾いてみた感想は、音が響くことです。音の響きは私の師匠である先生も驚いています。新品とは思えないほどの音の響きが得られます。

　田鎖マンドリンは長年使うと音が響くと思っていました。所有するエンベルガーモデルがそうでした。おそらく木材に水分が多いと思いますが、経年的に水分が抜けると音が水分で遮られないので良く響くと考えていました。桜モデルは納品直後から響きますが、サウンドホールに秘密があるようです。このあたりは田鎖マンドリン製作所のノウハウだと思います。

　私が気に入ったのは、左手の指がぶつからないことです。ネックが細いと弾きやすいと言われますが、指がぶつかりやすくマンドリン独奏で出てくるコードは押さえにくいです。その点、桜モデルは適度なネックの太さがありますので指がぶつかることがありません。

　もう一点は少し弦高が高い点です。弦高が高いと弦の張る力がまして弾きにくいと思っていましたが、むしろ弾きやすかったです。トレモロがしやすくフォルテからピアノの音量調整もしやすいと思いました。

　マンドリン独奏曲を弾いた動画をYouTubeにアップしました。桜モデルを解説しましたので、ご視聴いただければ幸いです。

　マンドリン独奏の良い助けになってくれるマンドリンです。これからの桜モデルの成長が楽しみです。私も桜モデルを引くことに相応しい実力を身につけたいです。

注意点

　最後に注意点があります。

　私が所有しているエンベルガーモデルは初期モデルです。現在のモデルとは仕様が異なっている可能性があります。エンベルガーモデルを購入する際は、田鎖マンドリン製作所に問い合わせしてみましょう。

　田鎖マンドリン製作所は、マンドリンの貸し出しも行っています。購入前に確認したい場合は問い合わせて取り寄せれば確認ができます。山野楽器の銀座店では田鎖マンドリンを取り扱っており、試し弾きができます。現地に行くことがあれば弾いてみるのも良いです。

　田鎖マンドリン製作所のマンドリンは、ネックが少し太い傾向があります。ネックを細くしてほしい場合、納品後でも細く調整してくれますので、ネック以外でも調整してほしいところがあれば連絡しましょう。丁寧に対応してくれます。

　田鎖マンドリンだけじゃないですが、ハンドメイドのマンドリンは納品されても弾きにくいところがあれば合うように対応してくれます。自分からマンドリンに合わすことも良いですが、自分だけのマンドリンに仕上げると何時までも大切に使いたくなります。購入元の楽器店や製作所に問い合わせましょう。

　田鎖マンドリン製作所のマンドリンは、マンドリン専門店や楽器店で取り扱っていることは少ないので、ホームページから問い合わせた方がよいです。ホームページはリンクを参照お願いします。

　最後まで、読んでいただきありがとうございます。